
「フカセ釣りはなんだか難しそう」——そう思って後回しにしている人は多い。でも実は、覚えることはそんなに多くない。竿・ウキ・コマセ、この3つの基本さえ押さえれば、瀬戸内の堤防でチヌやグレは十分に狙える。
この記事は、フカセ釣りの入り口から「釣れない日の立て直し方」まで、一本で読み切れるようにまとめた完全ガイドだ。
フカセ釣りってどんな釣り方?
フカセ釣りは「重りをほとんど使わず、まき餌(コマセ)と仕掛けを同調させて魚に食わせる」釣り。シンプルに言えば、コマセを流しながら、その中に仕掛けのエサを紛れ込ませる釣りだ。
ルアー釣りのような派手な操作は少ない。だけど「流れの読み方」と「コマセのコントロール」という頭を使う部分があって、やればやるほど奥が深い。
対象魚はチヌ(クロダイ)とグレ(メジナ)が2大ターゲット。どちらも引きが強くて食べておいしいから人気が高い。瀬戸内では堤防や磯からチヌを狙うスタイルが定番だ。
🐈 ミケ丸の一言
ぼくがフカセを始めたのは、釣り歴の中でもけっこう後のほうだ。「サビキでいいや」と思ってた。だけど一度、潮に乗った仕掛けにウキがスーッと消し込まれる瞬間を味わってからは、すっかりハマった。あれは投げ釣りにもサビキにもない快感だよ。
フカセ釣りの仕掛け:シンプルな構成を覚えよう
仕掛けは紀州釣りより少ない部品数で組める。まずは基本の5点を覚えよう。
- 道糸:2〜3号のナイロン(ナイロンが扱いやすくておすすめ)
- ウキ:0〜2Bの円錐ウキ(ウキ止めを使った半遊動が基本)
- ガン玉:仕掛けのなじみと沈下速度を調整するために数個使う
- ハリス:フロロカーボン1〜1.5号、60〜80cm
- 針:チヌ針2〜4号
ウキは「なじみ幅」と「感度」のバランスで選ぶ。波気のある日は少し浮力の強めなもの、穏やかな日は0号前後の感度重視タイプが使いやすい。

初心者のうちは市販の半遊動仕掛けセットで十分。慣れてきたら自分で組み始めると、状況対応の幅が広がる。
コマセ(まき餌)の作り方と打ち方
フカセ釣りの命はコマセ。ここをケチったり手を抜いたりすると、どれだけ仕掛けがよくても釣れない日が続く。
基本配合はオキアミ3kg+チヌ用集魚材1〜2袋。集魚材によってパン粉ベース・麦・さなぎ粉など香りや比重が異なるから、釣り場の水深と潮流に合わせて選ぶといい。浅場や流れが速い場所では、比重の重い配合材を使って底まで届けるイメージだ。
打ち方は「ヒシャクで仕掛けの投入点に向けてコマセを打ち、仕掛けと同調させる」のが基本。仕掛けより少し手前に打つことで、コマセが沈みながら仕掛けの方向へ流れていく形を作る。
1投ごとにコマセを1〜2杯打つリズムを守る。打ちすぎると魚がお腹いっぱいになって食いが悪くなるし、少なすぎると魚を寄せられない。
実釣の基本:仕掛けとコマセを「同調」させる
フカセ釣り最大のテーマが「同調」。コマセと仕掛けが同じタナ・同じ流れで漂っていれば、魚は仕掛けのエサも違和感なく食う。ずれていると見切られる。
タナ(狙う水深)の目安は水深の6〜7割。3mなら約2mといった感じだ。ただし季節や気温で魚の泳ぐ層が変わるから、最初は浅めから始めて徐々に深くしていくのがセオリー。
アタリはウキがスパっと消えるか、横にスーっと動き出すパターンが多い。合わせは道糸のたるみを取りながら、肘を使った横方向のスイープ合わせが標準だ。
最初の1〜2時間は「コマセを打ち続けてポイントを作る時間」と割り切ると、釣れなくても焦らずにいられる。フカセはすぐには釣れないことが多い。でも集まってきてからのスピードは速い。

釣れない日の立て直し方|よくある4つの原因と対処
潮は動いているのにウキがまったく動かない。隣の常連さんにはポツポツ釣れている——フカセ釣りでは、こういう「釣れない日」が必ずやってくる。原因はだいたい次の4つに絞られる。
① コマセと仕掛けがずれている
いちばん多いのがこれ。コマセは水面近くから広がっているのに、仕掛けのタナが深すぎて魚の目線に入っていないパターン。釣れないときはまず「コマセと仕掛けが同じ層を流れているか」を疑う。タナを30cmずつ浅くして探り直してみよう。
② ウキ・タナの選択が合っていない
ウキは初心者なら0〜1Bを揃えておけば大半の状況に対応できる。丸型(円錐)ウキは潮乗りがよく、流れに乗せやすい。同調のさせやすさを優先するなら丸型を基準にすると迷いが少ない。タナは釣り始めの30分で「1.5ヒロ→2ヒロ→2.5ヒロ」と複数回試して、反応のある層を探る。
③ コマセを打ちすぎている
「もっと打てば寄る」という発想は落とし穴。コマセを打ちすぎると、特に潮が澄んだ日や浅場では魚が散る。チヌは賢い魚で、何か変だと感じたら逃げる。目安は1投につきヒシャク1〜1.5杯。釣れない時間が続いたら、むしろ一時的に打つのをやめて反応を見るのも有効な手だ。
④ 風・流れが強い
風が強い日は道糸が押されて仕掛けが先行し、コマセと分離しやすい。対処は「ガン玉を1Bにして沈下を安定させる」か「メンディング(道糸を手前に戻す操作)で仕掛けをコマセに追いつかせる」。初心者には重くする方が扱いやすい。流れが速い場所はタナをやや浅くして底を切り、根掛かりロストを減らす。
🐈 ミケ丸の一言
釣れない日にぼくが最初にやるのは「コマセを打つのを5分やめる」ことだ。意外だろ。打ち続けると焦りでリズムが崩れる。手を止めて、潮とウキをただ眺める。それで「あ、仕掛けが速すぎる」と気づくことが何度もあった。
初心者は何から始める?
あれこれ揃える前に、まずやることはシンプルだ。
- 磯竿1〜1.5号・5.3m前後と、3000番クラスのリールを用意する
- 市販の半遊動仕掛けセットを買う(自作はあとでいい)
- オキアミ3kg+チヌ用集魚材1袋でコマセを作る
- 潮の動く時間帯を潮見表で確認して釣り場に立つ
最初の1回は「釣れなくて当たり前」くらいの気持ちで、コマセの打ち方と同調の感覚をつかむことに集中するといい。
まとめ:フカセ釣りの基本チェックリスト
- ✅ 仕掛けは道糸・ウキ・ガン玉・ハリス・針の5点。市販セットでOK
- ✅ コマセはオキアミ+集魚材。1投1〜2杯のリズムを守る
- ✅ コマセと仕掛けを「同じ層・同じ流れ」で同調させる
- ✅ 釣れないときはタナ・コマセ量・仕掛けの重さを順に見直す
- ✅ 最初の1〜2時間はポイントを作る時間と割り切る
ポイント選びと季節別攻略|瀬戸内チヌの狙い方とコツ
瀬戸内でフカセ釣りをするなら:地形と潮流の読み方
瀬戸内海はフカセ釣りのフィールドとして日本有数の環境が整っている。複雑な潮流、豊富なプランクトン、牡蠣や藻が育つ浅場——チヌにとって理想的な生息地が各所にある。
ただし「瀬戸内ならどこでも釣れる」わけではない。潮の動きが速すぎる場所は仕掛けのコントロールが難しく、初心者には向かない。まずは「潮のヨレ」を探すところから始めよう。
潮のヨレとは、速い流れと緩い流れがぶつかる境目のこと。コマセが溜まりやすく、魚も集まる。堤防の角、テトラの切れ目、岬の突端など、地形が変化する場所の近くには必ずヨレが生まれる。
堤防フカセの基本ポイント3パターン
堤防からのフカセ釣りで実績が高いのはこの3カ所。
① 堤防の先端(突堤先端)
潮が当たって複雑な流れが生まれる。コマセが拡散しやすく、複数方向に打ち分けることで広範囲を探れる。風の影響を受けやすいのが難点。
② 曲がり角(L字型堤防の内側)
外海からの流れが内側に回り込む地点。潮が緩んでコマセが溜まりやすく、チヌが長居する傾向がある。ここで粘れば必ず魚に出会える。
③ 排水口や川の合流点付近
栄養塩が流れ込んで小生物が集まる。チヌはこういった「餌場」の近くをうろついている。ただし水質が悪い場所は、釣れても食べることを考えると避けた方がいい。
🐈 ミケ丸の一言
ぼくが一番信用しているのはL字の曲がり角だ。派手さはない。だけど潮がゆるんでコマセが溜まるから、チヌがそこに居着く。釣れない日でも、ここなら粘れば1枚は出る——そういう「保険」になる場所を1つ持っておくと、釣りが安定するよ。
季節別の攻略|チヌは時期で居場所が変わる
チヌの行動パターンは季節によって大きく変わる。同じ場所でも釣れる時期・釣れない時期がある。
春(3〜5月):乗っ込みシーズン
産卵のために浅場へ集まる「乗っ込み期」。チヌが岸近くまで入ってくるため、堤防のすぐ際でもヒットする。水温が16〜18℃に上がる4月上旬〜5月が特に熱い。食い気も強く、年なしクラスが出やすい時期だ。
夏(7〜8月):早朝・夕マズメ限定
水温が高くなりすぎるとチヌは深場へ移動し、活性も落ちる。狙えるとしたら気温が上がる前の早朝か、夕方以降。日中の釣りは効率が悪い。
秋(9〜11月):荒食いシーズン
冬に向けてチヌが積極的に食べる時期。春に並ぶ実績の高さで、水温が安定している10月が狙い目。コマセへの反応も素直で、初心者でも釣果が出やすい。
冬(12〜2月):難しいけれど大型の季節
活性は落ちるが、残っているチヌは大型が多い。タナを深めに取り、コマセを少量ずつ打って待つ忍耐の釣り。釣れた時の喜びはひとしおだ。
釣果を出す実釣テクニック5選
ポイントと時期を押さえたら、あとは現場での立ち回り。ミケ丸が乗っ込みシーズンを中心に積み上げてきた、釣果を分ける5つのコツを紹介する。
1. 「2秒待ちアワセ」でバラシを減らす
ウキが消えた瞬間にすぐ竿を立てる「早アワセ」はチヌには禁物。ウキが完全に消えてから2秒数えて、ゆっくり大きくアワせるのがコツ。しっかり吸い込ませてから合わせるほうが、針が口の中に深く掛かる。
2. 潮の「動き出し」と「緩み始め」を狙う
チヌは潮が動き始めた直後と、流れが緩む潮止まり前後に口を使うことが多い。潮が止まり切るとコマセが溜まりすぎて魚が散ることもあるので、動き始めを優先的に狙う。釣行前に潮見表で「当たり時間」を予測しておこう。
3. 岸壁際の「際狙い」
堤防際や岸壁のキワには、チヌが好む隠れ場所がある。コンクリートの割れ目や継ぎ目周辺には貝やカニが集まりやすく、チヌが回遊してくる。際から30cm以内に仕掛けを入れて、壁に沿って流していくイメージで攻めてみよう。
4. エサ取り(コッパグレ・フグ)を「かわす」
春の浅場ではコッパグレやフグ、スズメダイなどのエサ取りが多発する。ミケ丸がよくやるのは「2段構え」——コマセを多めに撒いてエサ取りを遠めに集め、その隙間に仕掛けをすべり込ませる方法。刺し餌をボイルオキアミやコーンに換えるのも有効だ。
5. 朝まずめは移動せず「待つ」
乗っ込みチヌは朝まずめに回遊することが多い。ポイントを絞ったらコマセを撒き続け、最低30分は同じ場所でじっくり待つ。「アタリがない=チヌがいない」ではなく「まだ来ていない」可能性も高い。焦って動き回るより、信じて待てた人が釣る。
🐈 ミケ丸の一言
正直に言うと、ぼくは昔せっかちで、30分釣れないとすぐ移動していた。だけど移動した先でまた30分かけてコマセを効かせ直すんだから、結局トータルで損をしてた。「待つ」のも立派な技術だと気づいたのは、けっこう最近の話だ。
紀州釣りとフカセ釣り、どっちを選ぶ?
どちらも同じチヌを狙う釣りだけど、スタイルはかなり違う。
紀州釣りは「底に団子を打ち込んで待つ」釣り。エサを決まった場所に集中させるから、スポットを絞り込んで効率よく狙える。底付近に居着いているチヌには特に強い。
フカセ釣りは「コマセを流して広範囲を探る」釣り。潮に乗せて仕掛けを動かすため、回遊している魚を拾いやすい。コマセの打ち方・ウキの操作など技術的な要素が多く、上達の実感もある。
迷ったら、まず紀州釣りで「底を攻める感覚」を覚えてからフカセに移行するのがおすすめ。仕掛けがシンプルで失敗が少なく、チヌの引きを体験しやすい。慣れてきたらフカセも試すと、同じターゲットなのに全然違うゲームだとわかる。
まとめ:場所と時期を味方につける
- ✅ ポイントは「潮のヨレ」を基準に探す。突堤先端・L字の角・川の合流点が鉄板
- ✅ 春の乗っ込み・秋の荒食いが初心者でも釣りやすい2大シーズン
- ✅ アワセは2秒待つ/際を狙う/朝まずめは動かず待つ
- ✅ 潮見表で「動き出し」の時間を狙って入る
🐈 ミケ丸の一言
フカセは「すぐ釣れる釣り」じゃない。だけど、コマセと仕掛けがピタッと同調して、ウキが消えた瞬間のあの感覚は、一度味わうと忘れられない。最初の数回は釣果じゃなく「同調の感覚」を持ち帰るつもりで行ってみてほしい。
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チヌが釣れる条件——潮・水温・天気の正解
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広島在住・釣り歴約20年の作業療法士。瀬戸内・山陰の海でかぶせ釣り/メバリング/エギングなどを楽しみ、実際に通って得た知見をもとに初心者向けに解説しています。▶ 運営者プロフィール・編集方針

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