団子を落とす前に「読む」べきポイントの見つけ方
釣り場に着いたらまず竿を出したくなる気持ちはよくわかる。でもちょっと待って。紀州釣りは「どこに打つか」で釣果の8割が決まると言っても大げさじゃない。5分だけ岸壁を歩いて、水色と流れを確認してほしい。
チヌが好む地形というのがある。
- 岸壁の際から1〜3m:チヌは壁面に付いたフジツボや貝を食べるため、壁沿いを泳ぐ習性がある
- 流れがぶつかる淀み:酸素と餌が溜まりやすい
- 水深2〜5m帯:浅すぎず深すぎず、警戒心と採餌の均衡点
潮が動いているかどうかも重要で、完全な止まり潮では団子が崩れるタイミングと魚の動きが合わなくなりやすい。ゆっくりでもいいから「流れている」状態を選ぶといい。
実釣の流れ:まき餌で寄せてから本命を狙う
紀州釣りの基本的な流れは以下の通り。最初の1時間はほぼ「寄せ」の作業だと思って集中してほしい。
① 打ち込み開始〜30分
まずは同じポイントに集中して打ち込む。団子が着底したら竿先をわずかに立て、ラインを張ったまま待つ。この時点ではアタリより「ポイントを作る」意識で。5〜6投に1回くらいのペースで团子を追加し、底に餌の山を作っていく。
② 30〜60分:フグやクロが来たら吉兆
フグが団子をつついてくる感触が出てきたら、餌が効いてきた証拠。次第にクロ(メジナ)も集まる。この段階でウキがモゾモゾしはじめたり、団子崩れと同時にスパっと入ったりするようになる。
③ 60分以降:チヌタイム
小魚の活性が上がってきた後、チヌは外側からその場を乗っ取る形で入ってくることが多い。群れの中に突入してくるイメージ。ウキの動きが急に「ずん」と重くなる感じや、横方向にゆっくり動き出すのがチヌっぽいアタリの予兆。
アタリの見極め方:ウキの「嘘」と「本気」を区別する
紀州釣りで一番難しいのがここ。団子崩れのタイミングに仕掛けが動くので、偽アタリが非常に多い。
団子崩れによる動きは「じわっと浮き上がる」か「ふらふらと横に流れる」ことが多い。これは合わせても空振りになる。
本物のアタリはというと——
「スパッ」と一気に消える。これが一番わかりやすい本アタリ。躊躇なく合わせていい。
もうひとつは「ゆっくり、でも止まらない」沈み方。チヌがエサをくわえたまま泳いでいる状態で、一定方向に動き続けるなら本物の可能性が高い。
初心者のうちは「怪しいと思ったら全部合わせる」でいい。空振りしても魚は逃げないことが多いし、合わせのスピードと感覚を体に覚えさせることのほうが大事。
▼ウキの視認性を上げたい方に
ヒット後のやり取り:チヌは「突っ込み」が3回来る
チヌが掛かると、最初の突っ込みはかなり強い。壁際で掛かることが多いから、まず竿を立てて魚を壁から引き離すのが最優先。壁に擦られてラインが切れるのが一番のバラシ原因。
チヌは「3段突っ込み」と呼ばれるパターンで抵抗することが多い。第1波が一番強く、竿で受けながらドラグが出るのを許容する。第2波、第3波は徐々に弱まることが多い。慌てて巻こうとすると身切れしやすいので、突っ込んでいる間は無理に巻かない。
足元まで寄ったら魚を横に向けて水面に浮かせ、タモで掬う。チヌは最後まで暴れるので、タモは必ず頭から入れる。
岸壁で釣れた40cmのチヌを息子に見せたら「お父さん、顔が黒い」と言われた。確かにチヌは黒い。ミケ丸も「これがチヌか、なかなか骨のある魚だ」と唸っていた。
時間帯と季節:いつ釣れやすいか
チヌは朝マズメと夕マズメが回遊するタイミングとして知られているが、紀州釣りに関しては昼間でも十分狙える。むしろ「まき餌が効いている時間帯」のほうが重要で、2〜3時間打ち続けた後の「チヌタイム」は時刻に関係なく訪れる。
季節でいうと春(3〜5月)の乗っ込み期が最も釣りやすい。チヌが産卵のために岸寄りし、食い気も強い。次に釣りやすいのは秋(9〜11月)。水温が落ち着き、冬に向けて荒食いする個体が増える。
逆に夏の高水温期(7〜8月)は活性が落ちることもある。日が上がる前の早朝か、夕方以降に絞るといい。

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